兼題「水涸れ」「山茶花」
川井素山 〇残照の入江に細く牡蠣筏
鉦の音十夜仏事の冬日和
山茶花の咲く花よりも散るを愛で
琵琶湖涸れて露出礎石に文字の跡
保井寶正 ○四万十の涸れて清流曲がるなり
小春日や蔓が頼りのかずら橋
山茶花やお経を唱えてぽくぽくと
老い老いし節節(ふしぶし)痛し初時雨
佐久間喬 ○二人して今日の収穫茸汁
小粒なれど家主無き庭に柚子熟るる
水涸るる岩つたふ人暮残り
山茶花の刈り整へり今年また
丸山酔宵子 〇青天を囲ふ砦か枯木立
山茶花や散り際までも凛として
紅葉映へ水面横切る番鴨
風渡る竹林深く秋気澄む
吉田啓悟 〇秋らしき秋のないまま行く秋ぞ
飛石にすべる音する石蕗の花
吹き上がり塔より高き落葉かな
つくばいに散る山茶花の氷りけり
青木英林 〇ダム涸れて湖底に橋の現れり
湯畑に蛇の目もありぬ夕時雨
山茶花の重なり散るや道急ぐ
十割(とわり)そば喉越しの良き名人芸
山本草風 〇滝涸れて磨崖の仏の姿見る
軒下の出会いを作る時雨かな
北陸の旅の迎へは秋の霜
冬となり散歩の道のしおれ花
渡辺鯨波 〇水涸れて工事現場に不発弾
山茶花や寺に動物慰霊塔
短日やガラクタ市の店仕舞い
公園の立体迷路赤とんぼ
原 晶如 〇室の梅心揺さぶる筆の文字
散り敷ける夜目の山茶花薄明かり
水涸るる水琴窟は響きたり
短日の街にあふれる赤信号
永井正孝 〇短日の日捲り薄き忙(せわし)なき
山茶花の花弁掃きて山つくり
涸るる水岐(わ)かれ岩陰現るる
冬空に飛行機雲が延びゆけり
佐久間たか子〇神の留守からつぽの日御神木
知らぬ事ばかりの世事神の留守
羽音して山茶花ちらし空の青
落葉風から松葉飛び黄金空
中村双月 〇仏像の金の剝落冬紅葉
漣の銀に光るや冬の湖
山茶花の咲きて赤子をあやしけり
山茶花を愛でつつ行ける散歩かな
泉 宗季 〇水涸れて橋掛け降りる駅伝部
冬浅し振り向きもせず風を切る
夜もすがら木枯らし耳にちびり酒
炉開きの松籟いずこ亥の子餅
菊地崇之 〇老夫婦山茶花散策小石川
降る銀杏チャペルは卒寿鰻付
ハイボール城登し鯛と道後の湯
土佐鰹日暮れてカラオケ永い夜
長谷川直子 〇水涸れし田で焼き芋や親子いて
山茶花を荒らす熊め眠れ今
山茶花や落葉うるさき隣人も
水涸れの肌よクリームすぐ消ゆる
次回 萩句会
日時 ２０２５年１２月２３日（火）１４時～１７時
場所 田道住区センター三田分室二〇一会議室
兼題『寒禽(冬の鳥)』または『煤払い』一句
当季雑詠 三句
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