第１８１回「萩句会報告」 （順不同）
日時 ２０２５年１０月２８日（火）
兼題 「梨（有の実）」「落ち鮎」
川井素山 〇秋灯や棚にルーペのある酒場
落鮎やしばし留まる淵の果
新蕎麦や小さき民家の隠れ道
江戸前鱸握りの目玉ねた
保井寶正 〇あれやこれ議論に疲れ梨を剥く
落鮎は簗の背骨に身をまかせ
碁に遊び書に学びたる老いの秋
秋の暮レモン彗星よぎる空
佐久間喬 〇落ち鮎の焼く香を包む夕の雨
銀杏を踏みて家まで連れ帰る
透析を拒む一徹そぞろ寒
梨売りの幟はためく長屋門
丸山酔宵子 〇青天の朝日集める木守柿
落ち鮎や声かけぬまま時は経ち
良し悪し日々もあるなり鰯雲
座るべき友の訃報や走り蕎麦
吉田啓悟 〇酒少し徳利の底に夜寒かな
日の入りや五重の塔は残る秋
堅き梨鈍き刃物を添てけり
立つ秋の風にひかるかくもの糸
青木英林 〇銀杏が道しるべなり散歩道
大根引葉つぱが好きな意固地かな
落鮎や赤腹を見せラストターン
駅前は今年も梨の出店あり
山本草風 〇稚気覚へ秋の砂浜相撲とる
母残し日記に涙良夜かな
朗々と翁の詩吟菊日和
下り鮎罠と知らずに簗躍る
渡辺鯨波 〇落ち鮎や落人村に異国人
梨剥いて無学無才を慈しむ
最新の防災マップ二百十日
詫び状を一通書いて熟柿吸う
佐久間たか子 〇遠くへ行く素振りだけ赤とんぼ
舟を漕ぐ老いの昼寝や秋日向
秋天に合唱響き雲を透く
手に余る梨のしずくが刃滴る
中村双月 〇大空を埋め尽くしてや鳥渡る
冠木門残る庭園紅葉れり
両の手に余る有の実もらひけり
落鮎や流れの速き伊勢の川
原 晶如 〇しやりしやりと水飲むように梨を喰む
秋空に焦げ色遺し中雀門
千葉の原黄色に染めて泡立草
錆鮎の塩をきつめに藍の皿
永井正孝 〇梨を剥く海軍ナイフに父想ふ
落ち鮎の流るる先の烟りけり
鶴来たり年の瀬知らす行事なり
芙蓉咲き白き五弁に紅帯びる
長谷川直子 〇有の実を剥けば友の名榜に在り
落鮎の孕みて光る川上へ
落鮎の腹より太し我が腹よ
梨もぎに父の肩借る手が伸びる
泉 宗季 〇鰯雲物干竿の影映す
落ち鮎や炭火はためく川下ろし
秋雨に枝垂れて光る萩の花
衣被食めばとろりともう一献
次回 萩句会
日時 ２０２５年１１月２５日（火）１４時～１７時
場所 田道住区センター三田分室二〇一会議室
兼題『水涸れ』『山茶花』
一句
当季雑詠 三句
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