（順不同）
兼題「寒禽（冬の鳥）」「煤払い」
川井素山
〇寒月と競ふ客船窓明り ◎
煤逃げの亭主居場所を知る妻女 〇
残り実を食む寒禽の鋭一声 〇
千社札剥げし山門寒鴉 〇
保井寶正
○湯豆腐の湯気の向うの京言葉 〇
罪と罰心の傷の煤払い
傍にきて餌をついばむ冬の鳥
手締めの音ここまで聞こゆ熊手市
佐久間喬
○煤払ひ用無きものの多かりし 〇
街昏るる群なす枝の寒禽は 〇
息子から転勤のメール雪模様
人気なく朽葉溜まれり宿場跡
丸山酔宵子
日向ぼこ新聞何をお取りかな 〇
掛軸の墨鮮やかに冬座敷
銀座の宵喇叭がべる救世軍
真っ直ぐに天を突き刺す枯木道
吉田啓悟
〇風花のひとひら風をかけのぼる ◎
煤逃の類ひの集ふ床屋さん ◎
とりあへず忘れること日向ぼこ
雑踏に心おちつく十二月 〇
青木英林
〇寒禽の群れつ離れつ潟の朝 〇
煤払ひ己の煤も払いたし 〇
晦日蕎麦この一年の疾きこと
雪吊りの雪待つ姿雪よ来い
山本草風
煤払いやる気あれども老ひ勝る
群青の空にしるしを木守柿
風と化す光に溢る冬の朝
雨あがり紅葉に光る玉の露
渡辺鯨波
〇寒禽の鋭声浴びて農学部 〇
煤払い巫女は大方アルバイト 〇
愛妻に拝み倒され煤逃げ無理
いつのまに戦地の増えて冬薔薇
原 晶如
〇大仏の耳をくすぐる煤払 ◎
寒禽に勝負する犬声ばかり
雨の日のポインセチアに真珠降る
襟巻に鼻歌隠し登り坂
永井正孝
〇寒禽の声こぼるるや陋屋に 〇
煤掃きて厨房にあかり戻りけり
一の酉久方振りに神参り
冬来たり薬塗る両踵
佐久間たか子
〇飾り売り法被鉢巻金髪なり
あちこちの凝りをほぐして煤払う
凍星に一面凍みとうふ恵うけ
第九響く市民合唱冬の空
中村双月
〇冬かみなり男もすなる化粧かな
寒禽の何を思うや身じろがず
セールスの電話煩き年の暮
父さんの姉さま被り煤払 〇
泉 宗季
〇寒禽の劈く声に空見上げ 〇
冬紅葉苔の緑に散り敷ける
年越しに買ったばかりのダウン着て
クリスマス煌めくツリーに心凪ぐ
菊地崇之
〇賑わえり新教橋の煤払い
穏やかに一人祈らむ聖き夜
湯豆腐や長々お喋り飽きたりる
冬の果樹寒肥枝下げアメとムチ
次回「萩句会」
日時 2026年１月27日（火）14時～17時
場所 田道住区センター三田分室202会議室
兼題『スケート』または『蕗の薹』一句
当季雑詠 三句
投句の締め切りは１月２５日（日）です。
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