開催日：2025年12月17日(水) 参加：5名
品川用水（しながわ ようすい）：現在の東京都品川区にかけての地域へかつて農業用水を供給していた用水路です。玉川上水に33あった分水のうち最長級であり、『上水記』によればその流長は7里半であったとされている。明治末期から大正時代にかけて区域の市街化にともない工業用水路および排水路へと役割を変え、昭和20年代後半に埋め立てられて消滅した。
品川用水の分水口は玉川上水桜橋の少し東にあり、三鷹駅の西側から、三田駅前の繁華街を東に抜け、南下し、千歳烏山や、用賀馬事公苑東側、桜新町、水車橋通りなどを経由して、三谷あたりから目黒郵便局付近を抜けて品川区へ流れていた。
第一回は武蔵境駅から桜橋まで北上し、武蔵野六中正門前の分水口跡から三鷹一小までを歩いた。独歩通りの
国木田独歩記念碑、品川用水分水口跡、昔の軌道跡の遊歩道や三鷹車両センターに在った跨線橋跡を眺め
ながら、三鷹市内を南下し、人見街道に出たところで終わりました。
武蔵境駅の北側からバス乗り場を渡り、商店街を抜けると独歩通りにでる。この通りの名前は、文学者である国木田独歩に由来している。彼はこの地域で多くの時間を過ごし、その風景や雰囲気に影響を受けた作品を多く残しています。玉川上水に架かる桜橋のたもとには、独歩文学碑があり、「今より三年前の夏のことであった。自分は或友と市中の寓居を出でて三崎町の停車場から境まで乗り、其処で下りて北へ真直に四五丁ゆくと桜橋という小さな橋がある」と作品「武蔵野」第六章の書き出しが刻まれている。
桜橋の南側の玉川上水脇、市立六中正門のの前に、品川用水分水口跡がある。そのすぐ先に松美橋があるが、この橋の名前は、橋から見える美しい松の木々に由来しているという。皆で「どの松かな？」と暫し上を見上げた。ここから玉川上水と分れ南東に延びる道へ。新武蔵境通りを渡ると右手に「堀合（ほりあわい）遊歩道」がある。用水は堀合通りを通っているのだが、暫く国鉄・武蔵野競技場線の廃線跡に作られた遊歩道をのんびりと歩いた。
遊歩道は中央線線路に出るところで終わり、その先には、1929年（昭和4年）、旧鉄道省が三鷹電車庫（後の三鷹車両センター）を開設する際に設置された全長93メートル、幅約3メートル、高さ約5メートルの跨線橋があった。中央線の車両や留置線、富士山を見物できる人気スポットだった[。太宰治ゆかりの地で、太宰は弟子や編集者を連れてきていたほか、写真家・田村茂がマント姿の太宰を撮影した写真の撮影場所としても知られている。その後老朽化のため廃止が決まり、三鷹市では橋桁の一部と橋の南東側の階段の一部を記念に保存した。今は、その前のバス停（跨線橋前）に名残が残っている。跨線橋の代わりに三鷹駅寄りの堀合地下道が代替ルートとなった。
堀合地下道で中央線を南側へ潜り抜けると、三鷹駅前の南側を走るさくら通にでる。春になると桜の花が咲き誇ることから名づけられたそうだ。さくら通りを見落ちなりに南東へ向かうと成蹊通から下りてくるむらさき橋通りと合流し、南下する。この辺りは下連雀と言い、三鷹市には「連雀」の地名が多い。江戸時代の昔、振袖火事で焼失した神田連雀町一帯を、幕府が防火空き地とした。その住人たちがここに越して来て、千町野と言われる荒れ地を開墾したのが「連雀」の由来と言われている。
三鷹六小前の交差点で、山中通りを再び東へ向かう。吉祥寺通りに出て再び南下すると、直ぐ左手に杏林大学
井の頭キャンパスが見える。創立50周年を迎えた2016年に開設した井の頭キャンパスでは、保健学部、総合
政策学部、外国語学部のほか、保健学研究科、国際協力研究科の大学院研究科などがある、大変立派なキャン
パスだ。今回は品川用水跡を通る道が閉鎖されているので、構内を通り抜けさせてもらった。途中で立派な
校舎を背景に集合写真を撮らせていただいた。杏林大学の裏門から弘済園通りに出て、再び南下すると人見
街道（東京都府中市八幡宮と杉並区大宮の大宮八幡宮を結ぶ、古くからの街道）・三鷹一小前交差点に出た。
品川用水はここから人見街道沿いに東へ向かうらしいが、今回はここでお仕舞い。近くのバス停から吉祥寺行
バスに乗った。吉祥寺駅前下車後、井の頭公園入口の名物焼き鳥屋「いせや総本店」で乾杯。
以上
（文 吉野博明）
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